EFTと2つの風船テクニック




http://www.emofree.com/articles/double-bubble-technique.htmから


2つの風船テクニックは、現実をどのように創造し、慢性的な問題を変えるかという様々な
スピリチュアルなワークショップで、私が長年学んだ事から開発したものです。

私は、このシンプルなテクニックを知った事は、非常に多くの謎を解決し、何も役立つ手立て
がないような状態から人々を脱却させることに役立ちました。

このテクニックは、心理的逆転にあり、セラピーが功を奏しないクライアントに特に効果があります。

最初に、慢性的問題について定義をしたいと思います。

私は慢性的病気についてだけ述べているのではなく、慢性的行動、「慢性的」な自己同一性
(自分自身への定義づけ)、そして嗜癖、依存についても含まれます。

慢性的な状態のキーポイントは、同じ問題への願望と抵抗の間で密かに主導権争いが起きて
いるという事なのです。

2つのタイプの信念があります。

1つは、単純な1つの風船に例えられる信念です。

このようなタイプの信念は一般的に数ラウンドのEFTで対処できます。これらの信念は描写的な
タイプです。例えば「彼は私の気持ちを傷つける」というようなものです。

それは、あなたがその感情に対してタッピングを行ない、その思いを変える事が出来る事実です。
視点を変えることも出来ますし、彼はそういうつもりじゃなかったと理解する事も出来るでしょう。

しかし、この事実に対しての抵抗や願望はありません。

もう1つのタイプの信念は、しばしば「私は〜したい/になりたい」「私は〜したくない/なりたくない」
という形で表現され、抵抗や願望に満ちています。

そして、このようなタイプはより払拭するのが難しいのです。


例えば次のような思いを払拭したいとしましょう。

「私は煙草を吸いたい(願望)」「私は爪を噛みたい(願望)」、

「私はそんな人間じゃない(抵抗)」「私は金持ちが嫌いだ(抵抗)」

多くの場合、これらをEFTで使って解消したとしても、元に戻り、あなたの元にこっそりと現れ、
永遠にこの思いを解消できないように思われるのです。

あなたがタッピングしたいと思ってあらゆる時間を費やしても、数分後、あるいは数日後に
再び戻ってきてしまうのです。

なぜ、これらの信念、問題、行動、自分自身の定義づけは、どこからともなく戻ってしまう位に
強力に思われるのでしょうか?

答えは簡単です。

それらは1つの頭を持った野獣ではなく、正反対に2つの頭を持ち、同時に正反対の方向に
向かおうとしている野獣なのです。風船の喩えに戻ると、解決の鍵は、風船が2つ繋がって、
あなたが取り除きたい風船を、もう1つの風船が密かに養っていることなのです。


1つの風船(例:煙草を吸いたい)を壊すだけでは不十分なのです。


要するに、例えていうならば、慢性的な問題は全体が特殊な形の風船になっているのです。

2つの風船なのです。


(風船の真ん中を強く握ると、小さな風船が2つ繋がった形になるのを想像して下さい)


言葉を換えて言えば、もしあなたが隠れた一方に気づかなければ、問題を解決に成功しない
でしょう。

風船の半分を切り取っても、それが再び膨らむのに十分なエネルギーが残されているのです。

ですから、何の進展も見られなかったり、問題が再び戻ってしまう時、それは十分に問題に対処
出来ていなかったという事なのです。問題が再発するだけのエネルギーを残してしまっていたと
いう事なのです。

それでは、2つの風船とは何なのでしょうか?1つの風船には願望があり、もう1つには、その願望
への抵抗があるという事です。

例えば、「私は煙草を吸いたい。そして煙草を止めたい」「私はこういう人が嫌いだ。
そして私は彼らを愛している/受け入れる/好きだった」「私は癌から生き延びたい。そして私は・・」
というように。

この風船の喩えを用いる事で、2つの風船の間にエネルギーをやり取りする通路が想像出来る
でしょう。

1つの風船が強力であればあるほど(願望が強いほど)、もう1つの風船もより強力である
(綱引き現象)


という事です。

その人の内部で対立(矛盾)があるのです。同じ問題に対しての願望と抵抗があるのです。

さあ、あなたが本当に何かを欲しいと感じている時、あなたの中に正反対の信念もあるのだ
という事を否定したいでしょう。
だとしたら、落とし穴に落ちないように用心して下さい。質問をしていくと、最終的にはそれが
見つかるでしょう。あなたが今日抵抗している事を望んでいる(来た)側面(又は、その逆)と
再び繋がりを持つことが出来るでしょう。

両側にある2つ繋がっている風船を、その風船全体(願望、抵抗、その2つの葛藤)に焦点を
当てて、同時に破裂させる事が秘訣です。

1つの風船から始めて、次に2つ目の風船に取り掛かるのではありません!

あるセラピスト達は、これと同じような考え方を用いてきましたが、せいぜいポジティブと
ネガティブを交互に扱うか、2つの正反対の思いを別々に扱っています。

問題解決の糸口は、対立、葛藤している感情、2つの風船の間にある緊張を解消し、願望と、
その願望に対する抵抗を同時に無効化にする事なのです。

ここで私のクライアントの例を紹介します。そのクライアントの女性は、子供の頃に虐待され、
トラウマを抱え、14歳の時に家を出ました。それ以来、殆どホームレスのような形で放浪生活を
してきました。

私が彼女に初めて会った時、あまり歓迎されないような環境の中で暮らし、十代の頃から続いて
いる拒食と不眠を抱えていました。
彼女は、安心して眠れるような安全な家を見つけられるようにと私の所へ来ました。


勿論、私の役目は無料の不動産を探しに近所を歩き回る事ではありません。私はEFTを使って、
彼女を力強く、新たな人生を創り出し、安全に暮らしていけるようにするためのワークを開始しました。

私達が行なったワークの殆どは、2つの風船を見つけ、それを1つ1つ取り除く事でした。

もっとも強力だった2つの風船は、もう1つの風船が存在するなどとは思いもしないような問題でした。

例を挙げると、この女性は、安全で頑丈な家に住むことを本当に望んでいました。

「本当はそうではない」などと誰が彼女に言えるでしょう? 

ですから、私が彼女に、あなたが住まいを欲しくない何らかの理由はありませんか?
と尋ねた時、彼女は私をまるで私を狂っているとでもいうように見つめました。

しかし、2つの風船の理論に従えば、彼女が両親の家を出て以来、15年もの間に住まいを
見つけることが出来なかったのは、それに抵抗してきたに違いないと私は思ったのです。

そこで私は自分が開発した裏口テクニックを使いました。生活するためのしっかりとした場所を
見つける事に全く無頓着な誰かという視点からアプローチしたのです。
私は、無執着の戒律を守り、生きている間遊行しているインドの僧侶を思い浮かべました。

このように、この世には家を持ちたいと思わない人がいるのです。

私達は以下に述べるような手順を、定住しない事を望み、安定した家を持つ事に無関心で
暮らしている誰かだったらという形で用いました。

この設定は彼女をリラックスさせ、少なくともこの考えを彼女に受け入れさせる事が出来ました。

その時、突然彼女は、その抵抗を見つけました。彼女は家を出た時、本当に自由になりたいと
望んでおり、彼女の知る「安定した家」とは、虐待と身の危険しかない、全く信頼出来ないもの
だったのです。

(彼女の祖父母の家でさえ安全ではなかったのです)

これでは彼女が安定した家に住むチャンスを全て自ら邪魔してしまう無意識の葛藤を持っていた
としても無理はありません。

私達は以下に述べるテクニックを使い、その葛藤(家を持ちたいという願望と、家を持つことへの
抵抗だけでなく、その両者の間の緊張も)解消しました。

他の問題にもワークをした後、彼女は今、素晴らしいボーイフレンドと共に家に住み、人生で
初めて安心しながら暮らしています。



手順:


そのクライアントに話しをした後、私はセッションをしている間、行動パターン、アイデンティティの
パターンに注目し、彼女の人生で継続している問題に気づきました。
それから、次の空白部分を埋めるように彼女に言いました。



私は本当に__________(←クライアントが望んでいる事)を望んでいる。


なぜなら_________(←出来るだけたくさんの答えを入れる)。


そして、同時に私はとても_________(←上記の望んでいる事)が怖い。


(怖れている)なぜなら_________。


この最後の、"なぜなら"に続く空白部分で、私達は隠れていた抵抗を見つけるのです。

初めは何も思い浮かばないでしょう。クライアントは、こんな事をするのは馬鹿げていると想うでしょう。

そこで私はリラックスさせるために、いくつかの例を話します。それから、間もなくすると、大抵の場合、
意識の中にその理由(抵抗)が流れ込んできます。いくつかの問題が思い浮かぶのです。

核心となっている緊張を見つけて下さい。もっとも緊張状態にあるものを選んで下さい。

しばしばクライアント自身、発見したことに驚くことがあります。これは扱うべき無意識の問題、
核心を見つけたというサインの1つです。

それからタッピングを始めます:


セットアップ:


私は、もっと幸せになりたいから、本当に成功したい。そして、同時に成功したくない。なぜなら
−とても気にいっている静かな生活から離れたくないから。


−子供の頃、家族の中で落ちこぼれだったから成功するはずがないから。


−私の母は外で働いた事がなかったし、それが母親というものだと思うから。(ああ!私はこの
ような理由があるとは思いませんでした)これが核心の問題です。


さあ、ここで主要な点は、葛藤と緊張を使い、その緊張を解消する事です。

そこで、使われるリマインダーフレーズは、「成功したい、そして成功したくない」、「この葛藤(矛盾)」
となります。

この緊張が解消していくのを体験するのは、強烈な瞬間です。

2,3ラウンド行なった後が、「チョイス(選択)」の技法を導入するのに最適です。
選択する事を創り出すのです。


家での課題:私はクライアントに、1日3回葛藤(矛盾)と、選択に対してタッピングするように
言います。


同じクライアントに用いた2つの風船テクニックの別の例:


私は幸せになりたい。なぜなら、そうなる価値があるから。それと同時に幸せになるのが怖い。
なぜなら、それを失うかもしれないし、その為のリスクを背負いたくないから。

それなら少なくとも馴染みのある幸せでない

無感覚な状態でいた方が良いから。がっかりしなくてすむ。
(ある種の挑発セラピーが、ここでは役立ちます。)

その後、このクライアントは子供の頃に、彼女が幸せな気分にさせてくれた事に対して罰っせ
られた事を思い出します。

ここでの「選択」は、「私は今まで幸せになった事など1度もなかったけれども、これからは幸せな
経験をしていくことを選択します」でした。

1日に3回、葛藤と、この選択のタッピングを繰り返します。



例2:



「私は人生をコントロールしたいと本当に願っている。なぜなら、本当にあらゆる事が怖いから。
そして同時に人生のプロセスというものを信頼したい。
なぜなら私は何もかもコントロール出来ないし、常に自分を守り、自分を閉ざすことで生きる喜び
や楽しさを全て奪われているから」

自分の生活に不満を持っていた老年の男性クライアントは私にこう言いました。

「神からの偉大な贈り物にも関らず、私は決して自分がこうなれるという自分になれずに今日
まで生きてきました」

そこで、たくさんの思いを空白部分に埋めるようにしてもらいました。

「私は本当に成功したい。そして同時に成功するのがとっても(表現を強調させました)怖い。


なぜなら__________」


どのように対処していいかきっと分からないだろう。人は今まで以上に私に多くを期待するだろう。

彼らの期待に応えられない。彼らは私に失望し、私も自分自身に失望するだろう。それなら、

そのようなリスクを背負いたくない。


そこで私はもっとも強力なもの、クライアントが自分でも予期していなかった答えを選びました。

「自分に対して失望するだろう」という答えです。

これは、クライアントが落ち込んで来て、ワークするだけのエネルギーがなく、深い心理的逆転
状態にある時に私が好んで行なうテクニックです。

クライアントは、しばしば無意識にある障害物を発見したのだという感触を深く感じて帰ります。
このテクニックは、クライアントの特殊な核心問題を発見する素晴らしい方法だと思います。


Colette Streicher


2つの風船の手順:最新バージョン


*ブレンダさんが、作者のColette StreicherにEFT Japanのホームページ上に、このアーティクル
の掲載許可を求めるメールを出したところ、様々な問い合わせに答えて最新バージョンを書き直し
たと、その手順を送って下さいました。その内容を以下に御紹介致します。(訳者)



1.最初のステップは、変えたいと思うことを見つけることです。
  そして、具体的な問題に絞り込みます。


 例:仕事を成功させたい。幸せになりたい。煙草を止めたい・・等々。


セラピーで用いる場合は、セッションの際にクライアントに空白部分を埋めてもらいます。
そして、クライアントの言った事を全て書き留めます。


私は常に2つの欄に分かれた用紙を使います。1つの欄には「私は本当に___を望んでいる。
(___したい。___になりたい)」と、もう1方には「でも___を怖れている。(___が怖い)」
と題名をつけています。


(自分1人で行なう場合は、心に浮かんできたものを全て紙に書き出します)



2.最初の問い(空欄)に答えます。(最初の風船の探索)


註:その人が答えやすいものから始めると良いかもしれません。2番目(風船)の問いの
「私は〜を怖れている」「私は本当に〜したくない」という抵抗に対するものから始めた方が答え
やすいかもしれません。


例:私は、望んでいる事から始めます。


私は本当に___したい。(を望んでいる)


(例:私は本当に幸せになりたい)


なぜなら_____だから。(出来るだけたくさんの答えを入れる)


(例:なぜなら


*人生を価値あるものにしてくれるから。


*私は幸せになっていいはずだから。


*私は幸せになるために生まれてきたのだから。


ここで、それぞれの答えの背後に隠れているものがあるかもしれないという事に注意して下さい。
そして、それを見つけて下さい。見つけるには、答えの後に「なぜなら?(どうして)」という問いかけ
を更にします。


例えば:


私は彼と一緒に暮らしたい。なぜなら...彼は家の中の事をいろいろ助けてくれるだろうから...
なぜなら?...私では力不足だから助けてくれる男の人が必要だから!


ああっ!(これが本当の問題です) もし、適切だと思うなら、より確信を得る為に、更に
「なぜなら?(どうして)」と先に進めてもいいでしょう。


註:「ああ!なるほど」という答えが、少なくとも1つ見つかるまでは、このステップを止めないで
下さい。もう何も答えがないと思った後で、答えが浮かんでくることがしばしばあります。
もし行き詰ってしまったように感じたら、望んでいる事が成功したようにイメージして、その想いや
問題と再び結びつきを深めてみて下さい。



例:私は、クライアントに婚姻届にサインしている所をイメージさせました。このイメージによって
更に深い感情や新たな答えがいくつか出てきました。


答えが全て出し尽くしたと確信した時が、もう1つの問いに注意を切り替える時です。
(もう1方の風船)


3.次の問いに答えます。


そして、同時に私は___(望んでいること)を、とても怖れています(抵抗しています)。
なぜなら___だから。


(例:そして同時に私は幸せになるのをとても恐れている。なぜなら・・・)


ここで、多くの場合、隠れている対立(葛藤)の源を発見します。最初は何も答えが浮んでこない
かも知れません。恐らく、答えられるとは思うこともあるでしょう。
これだけ自分が望んでいる事に抵抗するような事があったり、抵抗するような人がいるとは思え
ないでしょう。


そこで、もし本当に行き詰ってしまったら、自分が他の誰かであると想像して、あなたの望みに
抵抗しているような状況を創り出してみる必要があるかもしれません。
(又は、その逆)(ホームレスであることを望む例を参照して下さい)


まさにそれだと驚くようなものが見つかるまで、「なぜなら?(どうして)」の答えを見つける事を
続けます。
(前の問いと同じように、必要ならためらう事なく「なぜなら?(どうして)を続けざまに聞いていきます。


(例:私は本当に幸せになるのが怖い。なぜなら...常に私は幸せを失いかねないから。
[ここで更にもう1度「なぜなら?(どうして)」と聞いても良いと思います] 

そして、次にこのような答えを得ます:あっ!子供の時、私が幸せな気分でいると、必ず罰を
与えられていたのを思い出しました...

私は幸せになることについて、どうすることも出来ない。

不幸せでいる方がいい!なぜなら不幸せでいれば、少なくとも思うようになれるから。
(不幸な時の方が安心できるから!!)


4.それから、答えをセットアップフレーズにまとめます。(「ああ!なるほど」という答えを用います)


 例:「私は人生を価値あるものにしたいから、幸せになりたいと思っているけれども、そして同時
に幸せはコントロール出来ないし、失いかねないから、幸せになるのがとても怖いけれども・・」


5.以下のようなリマインダー・フレーズで、各ポイントをタッピングする。


「私は幸せになりたい。そして幸せになるのが怖い」


「この対立(葛藤)」


6.数ラウンド行なった後、チョイス・メソッドを導入します。(選択する事を創り出します)



例:私は今まで幸せに感じた事など1度も無いけれども、幸せで安心した感覚を自分に経験させる
事を選択します。(経験することを選びます)(キャリントン博士のチョイス・テクニックを参照の事)


註:ここで私は、彼女の問題の核心(コントロール、安心感の必要性、幸せへの必要性)である
価値観の対立を統合させるようにチョイス・テクニックをデザインしました。そこで、もし出来るならば、
その人の価値観の体系に、古い価値観(安心感の必要性やコントロールする必要性を感じること)
を含める事なく、新しい価値観(幸せ)を加えるようなセットアップ・フレーズを創ってみて下さい。



家での課題:1日に3回、対立(葛藤)と選択した事についてタッピングする。



colette@healingwomen.org


 www.healingwomen.org

 

翻訳: 岩井 邦夫


監訳:ブレンダ・ダランパン 





重要な注意:

EFT は臨床的にめざましい結果を生み出していますが、このテクニックはまだ実験段階
であることを考慮しなければなりません。
ですから、EFT を使用するプラクティショナや一般の人々は、このテクニックを使用する
ことについて自分自身で完全な責任をとらなければなりません。
さらに付け加えると、Gary Graig は医療に関する専門的な免許を持っていません。
彼は任命された牧師として、またパーソナルパフォーマンスコーチとしての立場から
EFT を提供しています。
特定の感情的問題、または身体的問題に EFT を用いることについて、医療分野の
専門家との話し合いを望まれる方は、http://www.emofree.com/ のプラクティショナ
紹介ページをご覧ください。

そこには、公的な資格をもった、あるいは公的な資格を持たないEFT プラクティショナ
がリストアップされています。
 

EFT をお使いになる方は必要に応じて、資格のある医師に相談してください。



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