レンズ・ブロムが棒高跳びの世界王者になるのに一役買ったEFT


皆さん、よく知られた世界有数のアスリートにEFTが使われたときの、込みみ入った裏事情を紹介してくれたオランダのジャン・スコルテスに感謝しましょう。皆さんと同じようにセレブやアスリーツも問題を持っている事、これらの問題を解消する事が、トップレベルでパフォーマンスするよう私達を解放してくれるという事がお分かりになると思います。

ゲアリー


ジャン・スコルテス

 

こんにちは、ゲアリー

 

運動選手とどのようにワークするか、ネガティブな思い込み(信念)にEFTを使うこと、EFTとビジュアライゼーション(視覚化の技術、イメージ法)をどのように組み合わせるかという事を知ることは、他のプラクティショナーの皆さんによい刺激になるのではないかと思います。私がこれから書こうとしている人物は、現在世界的に有名なので、彼の個人的な問題についてあまり詳しくは書きませんが、この話はみなさんが着想を得るには十分だと思います。

 

私は、レンズ・ブロムという運動選手を何年も前から知っていて、年に2,3度会っていました。彼は必要な時に適切にリラックスするやり方についての基本的なテクニックを身につけていました。そして、私達は試合の準備や試合の最中の想いが重要であると分かっていました。しかし、私がNLPについて学んだ後、私達は彼の(パフォーマンスを)阻害する想いをコントロールする道具を更に持つことになりました。ところが、私がEFTを学んだ後は、NLPと組み合わせることで、阻害する想い全てを扱うための、より強力で効果的な道具を持つに至りました。

 

この成功(陸上世界選手権優勝)までに、どんな事を私達が行なったかをこれからお話ししようと思います。

 

私達は、準備時間と試技の最中の重要な時に生じる彼のネガティブな思いを見つけようとしました。私は彼に試合の日の準備の間に生じる想いと行動を日記につけてもらいました。この日記には、彼のコンディションについての心配、スポーツマンとしてどのように振舞ったら良いかについての心配、どのポール(棒高跳びの棒)を使えばいいかの心配、失敗するかもしれない事への心配など、たくさんの心配、不安が書かれていました。このような想いは、自分を信じるチャンピオンのそれではありませんでした。それらは、1日中不安で、自分の周囲に起こる事に簡単に影響されてしまう少年の考えることでした。彼の想いはいつも失敗のシナリオに貼り付いていたのです。

 

私はEFTのタッピングテクニックを彼に教えました。彼はちょっと変なテクニックだと思ったようです。私達は、重要なトーナメントの最中に起こる彼の不安といつも上手くいかない事に対してタッピングをしました。「私は間違った判断をする事がとても不安で怖いけれども・・」

 

私は、間違った判断をする事について、一番大きな問題は何だろうかと彼に尋ねました。ちょっと考えた後で彼は私を見てこう言いました。「ジャーナリストや解説者達が、私のジャンプの仕方についてどのような論調をするのか不安になります」

 

私が、これまでの人生で彼が経験した批判で何か思い出すものは無いかどうか聞いた時、彼が若い頃、しばしば権威的な雰囲気を漂わせる一人のトレーナーがいて、そのトレーナーに対して抵抗する思いが生じていたことを思い出しました。「権威者のように振舞う人に対して、どうしてそんなに悩まされるのか」という私の質問に、レンズはこう答えました。「その声の調子が私をうしろめたい気持ちにさせるんですよ。まるで私が罰を受けるに値するようなね。それが嫌なんです」それは又、彼の父親を思い出させていました。彼の父もまた偉大なスポーツマンで、規律のある人でした。そして、その父の声の調子はとても気分的なものだったのです。レンズはこう言いました。「父は心の優しい人です」「そして、私がすることは何でも支援してくれます。でも、私が若い頃にもっと協力的だったらと思います」

 

このような話の後に、次のように問題にタッピングをしました。

  

「父の声の調子がまだ耳の底に残っているけれども・・」
 

「彼はいつも自分のやり方で物事をボクにやらせようとしたけれども・・」
 

「私は支配的な人間が嫌いだけれども・・」
 

「私は従わざるを得ないような議論のやり方に抵抗を感じるけれども・・」
 

「私は権威主義に対して問題をもっているけれども・・」
 

彼は、このような思いを意識し、タッピングした後に解放されたように感じました。

 

彼は、重要な試合の最中に、ある高さへの3度目の試技で失敗し、彼は非常に苛立ち、それを表情に現していました。「私は100%力を出しました。私は自分の最高の力を発揮したんですよ」と、彼は私に分からせようとしました。ある理由から私は自分の意見を彼に言いませんでした。なぜなら、私はそこにいて、何か別な事を感じていたからです。私は彼に、2番目のジャンプの後と3番目のジャンプを始めるまでの間に何を考えていたかを、とてもゆっくりと思い返すように言いました。約20秒後に彼は私をチラッと見てこう言いました。「くそ!バンクで座っている時、私は報道陣に対しての言い訳を考えてました」彼の試合は既にそこで終っていたのです。

 
それから、彼は自分のネガティブな想いを常に探査すること、心の中で気づくこと、そして終始一貫してポジティブな目標に心の焦点を当てつづける事がいかに重要かを学んだのでした。
 

彼の安全圏を突破するという問題もありました。彼は2年間、自己新記録を更新していませんでした。そして、その事に対して不満を感じていました。私が彼に、自己新記録を出すジャンプをしている自分自身の映像を心の中で見たことはあるかどうか聞くと、やってみたけれども、いつも失敗に終る映像だったと答えました。

 
私は彼が自己新記録のジャンプ(現在の最高より約5cm高くと、彼にとって現実的な範囲にとどめました)をする映像を思い描くように言いました。これは彼にとって容易な事ではありませんでした。なぜなら、それまでずっとジャンプに失敗している自分自身を思い描いていたからです。そこで、彼の今までで最高のジャンプと、その時どのように感じたかを思い出せるかどうか尋ねました。当然、彼は思い出すことが出来ました。スポーツマンはこういった記憶を、失敗した時の強烈な記憶と同様に持っているものです。私は彼に、そのポジティブな身体感覚と精神状態を新しいイメージの映像に対して用いるように言い、再度イメージをしてみるようにさせました。今回は上手く行きました。私は、これは自己新記録のジャンプなのだと思いながら、この方法で精神的に訓練するのに、次のようなEFTのフレーズを使うように言いました。「5メートル80センチ以上を完璧に跳んでいるのを感じるけれども・・
 

レンズは、いつも試合の最中に天気が良いことを好んでいました。彼がベストなジャンプをした時は、良い天気だったからです。彼は寒い日には、いつも憂鬱に感じ、足がひきつって文句を言い始めるのでした。

 
今年(2005年)フィンランドのヘルシンキで行なわれた世界陸上選手権大会の間、天候は荒れ、寒く、大雨が降っていました。重要なトーナメントの期間はいつも何もかもが悪くなるというレンズの筋書きが本当に証明されたのです。ひどく天気が荒れるのはどの期間かを分類した後、私達はeメールで連絡を取りました。私は、こういったコンディションにどのようにして対処するかを学んだアスリートのeメールを目にしたのです。そのメールには不安について書かれたものはなく、彼がどれだけ出来るかという可能性と決意について書かれていました。

 
彼は今では自立しており、つぎのようなフレーズを使っていました。

 
「私は天気が悪い日は嫌いだけど、私は・・」

 
「このような天気の時は、気が散ってしまうけれども・・」

 
「こういうコンディションは嫌いだけれども、それを受け入れ、対処する事を選びます・・プロらしく・・」
 

最終日の間中、彼は親しい競技相手全員が、この悪天候に対して大声で悪態をついているのを耳にしました。そして次々に彼らは試合から去っていきました。彼はそういう事を全て耳にし、全てを受け入れるという決意を一層強めたのです。彼の思いはこのようなものでした。「オーケー、みんな、この天気で自分のエネルギーを消耗すればいいさ。私はここにいる。私はこの天候を受け入れる。私はプロフェッショナルで、自分のやるべき事をやりたい

 
終章

 
レンズが世界チャンピオン(棒高跳び)になった後、レンズにとって大きな模範であり、複数のタイトルを持つ棒高跳びの選手、ロシアのセルゲイ・ブブカがレンズに大きな賛辞を送りました。ブブカは、レンズの勇気と決断力、そして、このようなひどい天候の中で自分を強く保った事がレンズを世界王者にしたのだと称賛したのです。
 

そして、私は自宅のTVでその一部始終を全て見ました。これを数年前に誰が想像出来たでしょう。たくさんのセルゲイ・ブブカのビデオを持つ、不安で一杯の若者が、そのヒーローにこのような賛辞を受けているのです。私にとってこの事は、心が自由であれば多くの事が可能になるということを改めて証明してくれる出来事となりました。

 
この話が多くのEFT仲間の刺激になりますように。例え、ある特定のスポーツの専門家でないとしても、スポーツをすることへの情熱を持ち、スポーツマンとの良いラポールを持つことが出来れば、EFTで大きな効果を上げることが出来るのです。
 

世界選手権の後、私は、次のオリンピックに向けて、より多くのアスリーツに準備をする手助けをしてほしいと依頼を受けました。先週、彼らと会い、彼らの怖れや失敗について聴き、精神衛生面の重要性を説明しました。「恩恵を借りる」セッションで、私達は選手個人の問題をいくつかワークし、その場で効果を上げました。その中の1人の選手は、アテネ・オリンピックで大きな失敗を経験しており、その失敗がいまだに尾を引いて、全ての試合における問題になっていました。1回のセッションの後、彼はその問題から解消されたように感じていました。彼の顔の表情が全てを物語っていました。彼ら全員がワークに選んだ自分の問題から解放されたと強く感じ、私とワークをしたいと言ったのです。彼らと個別に話している時に、まだしなければならない多くの事を聞きました。しかし、私とEFTにとって何とやりがいのある事でしょう。

 
ジャン・スコルテス、メンタル・コーチ、NLPマスター・プラクティショナー、EFT-ADVプラクティショナー
 

 

翻訳:岩井 邦夫

原文 http://www.emofree.com/performance/performance-pole-vault.htm


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重要な注意:

EFT は臨床的にめざましい結果を生み出していますが、このテクニックはまだ実験段階であることを考慮しなければなりません。
ですから、EFT を使用するプラクティショナや一般の人々は、このテクニックを使用することについて自分自身で完全な責任をとらなければなりません。
さらに付け加えると、Gary Graig は医療に関する専門的な免許を持っていません。
彼は任命された牧師として、またパーソナルパフォーマンスコーチとしての立場からEFT を提供しています。
特定の感情的問題、または身体的問題に EFT を用いることについて、医療分野の専門家との話し合いを望まれる方は、http://www.emofree.com/ のプラクティショナ紹介ページをご覧ください。

そこには、公的な資格をもった、あるいは公的な資格を持たないEFT プラクティショナがリストアップされています。
 

EFT をお使いになる方は必要に応じて、資格のある医師に相談してください。