一回のセッションで、偏頭痛と死別の悲しみを解消する


ゲアリーへ

活発な若い母親の偏頭痛を癒したこのセッションは私に色々な事を教えてくれました。セッションが進むにつれて、彼女の複数の問題の原因であった義理の母親の死にかかわる未解決の諸問題が明らかになっていったからです。

ビービーは、義理の母親が亡くなってすぐに、偏頭痛に苦しむようになりました。彼女と義理の母親は親密で、時々口げんかをする時もありましたが、それでも一緒にお茶、ランチ、買い物、お寺への参拝、友人や家族との集まりや、気晴らしの外出に共に出かける事を本当に楽しんでいました。彼女たちは仲良し二人組で、ビービーは可能な時はいつでも6歳の娘も一緒に連れ出していました。

彼女の義理の母親は、突然胃がんと診断された数ヵ月後に亡くなりました。最期の数ヶ月間看病をしていたビービーにとって、彼女が次第に弱っていき、ついに亡くなった事は非常に辛い出来事でした。偏頭痛に加えて、彼女は夕食をもてなしたり、友達と過ごしたり、出かけたりするような日常の事柄に対しても自信を無くしているともらしました。彼女の教師としての仕事もストレスになっており、また義理の母親が夢の中で、この世に戻って来て又一緒にいたい、と言うので彼女は恐怖でいっぱいになっていました。「もし義母が幽霊になって出てきたらどうすれば良いの!」。

ビービーが私の元を訪れた時、彼女は辛い記憶を再度たどる事をためらっていましたが、それらの感情を抑える事は何の助けにもならないという事実は受け入れました。セッションを開始した時、彼女は義母に対する悲しみの度合いは10のうち8で、「彼女を救えなかった事で何よりも無力さを感じたの」と言いました。

彼女の義母は、死にたくない、もっと長生きして孫の成長を見たい、と言い続けていました。これらの言葉は彼女にとって辛いものでした。まず最初に、彼女の悲しみに対してタッピングをした結果、感情の度合いは8から6に下がりました。

そして、彼女はまた罪悪感を感じていた事も明らかにしました。

「何に対しての罪悪感ですか?」。 「義母が食欲がなくなってきたと言った時、もっと早く医者に連れて行けば…」。 しかし、頑固な女性だった義母は西洋医学の医者にかかる事を拒否し、その代わり代替医療を受けていたのでした。

義母をもっと早く医者に連れて行かなかった事に対しての罪悪感は感じるけれども、医者に行かなかったのは彼女自身の意思であり、彼女の意思は尊重しなければいけなかったという事を認めます。

また、ビービーは義理の姉(妹)に長い間義母を医者に連れて行くように頼まれていたので、義母の死を自分のせいだと思われているかもしれないことを恐れていました。義姉との関係を失う事、もしくは彼女からの非難を恐れていますか?との質問に、彼女は「どちらも」と答えました。その問題に対してのタッピングを行った結果、彼女の悲しみと罪悪感の度合いは0〜10のうちの3〜4まで下がりました。

義理のお母さんの顔をイメージして下さい、何が見えますか?と私が質問すると、非常に具合が悪く、痛み止めと息子からの同情を求めていた時の顔が見えるとビービーは答えました。

私は尋ねました:義理のお母さんが亡くなった事で寂しい気持ちでいなければいけないと思うのですか?彼女が逝ってしまった今でも、彼女がいなくて寂しいとか、幸せになれないと思うのですか?私のこの質問に、ビービーは何かを感じたように見えましたが、彼女はそうではないと言いました。

ビービーは義母が夢の中で「戻って来て、又あなたと一緒に過ごすわ、そうしたいのよ」と告げると私に話しました。これらの夢の中には彼女を怖がらせるものもあったので、それに対してもタッピングをしました。タッピングしながら、私はインドの経典や賢人たちの著作から死に対する見方を彼女に伝え始めました。自分の魂が自分の生死の時を決める事;死は偶然でも強制されるものでもない事;その人の意思に反すると思われたり、苦しいものであるように見えても、全ての変遷はその人により選択されたものである事、等等。

彼女はこの考えにより慰められたようで、今は恐れは感じないと言いました。(恐れに対しては感情の度合いは計っていません)この時点で従来のさまざまなツボをタッピングし続けながら、ふとひらめいて、彼女に目を閉じて義母と二人で過ごした時間を思い出してもらうことにしました。

すぐさま、彼女の唇が震えだし、泣き崩れてしまいました。そしてタッピングを続けたくないと言ったのです。今はタッピングが最も効果的な非常に重要な時なので、静かにタッピングをし続けるように提案すると、数分も経たないうちに、彼女は落ち着きを取り戻しました。

そして悲しみ、罪悪感、動揺、などの感情を計ってもらうと、彼女の心は空白であり、無感情だと言いました。義母の顔を今また心に描いてもらうと、今度はビービーが結婚した時の彼女の顔が浮かびました。幸せに輝いている義母の顔が。

ビービーは今は全体的にとても気分が良いと言いました。再び、義母と過ごした時間、彼女の家や家具、家に飾ってある彼女の写真等を思い出してもらったところ、2くらいの少しの悲しみがまだ残っていると言ったので、もう少しタッピングを続けました。

一時間位のセッションの後、彼女がどのように感じるか尋ねると、とても軽やかな気持ちだと答えました。確かめるために、再び義母との時間を思い出してもらったり、彼女の顔を心に描いてもらったりしたところ、ネガティブな感情は全くなく、感情の度合いは10のうちの0になっていました。

セッションが終わる時、ビービーが言った事は 「こんなに簡単だなんて思わなかったわ!」。

そして2ヵ月後のフォローアップの時、彼女は以下の事を報告してくれました。

  • 偏頭痛は殆ど治まり、今は非常に強いストレスを感じた時にのみ頭痛がする。しかし、その痛みも偏頭痛というより、単なる頭痛に近い。
  • 義母の夢や悪夢を見なくなった
  • 義母を思い出し、時々義母が近くにいてくれて家の事を手伝ってくれたら、と思う事はあるが、心 の痛みや悲しみは無い
  • 二次的な特典として、以前は週に何度か感じていた胃酸過多の回数が大幅に減った
  • 日々の生活にうまく対処しており、元気で自分に自信がもてるようになった

アミット シンより


翻訳:フィッツジェラルド・M・美加
監訳:山崎 直仁
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重要な注意:

EFT は臨床的にめざましい結果を生み出していますが、このテクニックはまだ実験段階であることを考慮しなければなりません。
ですから、EFT を使用するプラクティショナや一般の人々は、このテクニックを使用することについて自分自身で完全な責任をとらなければなりません。
さらに付け加えると、Gary Graig は医療に関する専門的な免許を持っていません。
彼は任命された牧師として、またパーソナルパフォーマンスコーチとしての立場からEFT を提供しています。
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